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英語の試験と聞いて一番に思い浮かべるのは英検、という人も多いかもしれません。
受験者数が多く、歴史のある試験なので、日本では認知度はとても高いです。
小学生から大人まで、知っている方が多いですね。
今回はそんな英検について
本当に英検を取得して意味があるのか?
大学、就職でのメリット、デメリットを
詳しく解説します。

目次
英検受験が4つのメリットを紹介します。
①日本での認知度の高さ
先に、日本では最も長く実施されている英語の試験、と書いたように、歴史があり、多くの世代に渡って受験されています。
家族の中にも受験経験のある人がいる、という状況も珍しくはないので、子供の受験の際に親に相談するということも可能でしょう。
また、民間資格とはなるものの、文部科学省に後援されていることから、世間からの資格に対する信頼も厚いと言えます。
級によっては、決して安くない受験料ですが、安心して受験することもできますね。
さらに、英語の先生や英語学習の関係者の中では、準1級と1級の難易度は十分に認知されているので、取得していれば英語学習上級者と認めてもらえるはずです。
②級の合否とスコア、合格バンドにより達成度がわかりやすい

現在では、成績表に合否判定だけでなく、スコアと合格バンドが表示されるようになったため、総合的な達成度がわかりやすくなりました。
合否だけの通知だと、得意分野苦手分野がわからず、受験後の学習計画を立てにくいですが、スコアや合格バンドによって、どの点を改善すればいいのか、受験する級が適しているのか、などの検討材料となり、勉強のモチベーションも上がるかもしれませんね。
一方で、TOEICやTOEFLなどスコアのみを成績として通知するような英語の試験もありますが、スコアがどれぐらい高ければ世間的に英語上級者と認めてもらえるか、という判断基準は人によって大きく異なり、認知のされ方が曖昧となってしまう可能性もあります。
その分、どれぐらいのスコアであれば提示できるのか、悩んでしまうかもしれません。
英検であれば、「〇級取得しました」という言い方ができるため、それを伝えられたほうもわかりやすいでしょう。
③入試や授業で役立つ
3級で中学卒業程度、2級で高校卒業程度を目安とされており、中学や高校の英語の勉強と並行して行えば、英語の理解度が増すでしょう。
それらの級であれば語彙や読解のレベルは、高校入試や大学入試、センター試験の勉強などにも必要な部分も部分も多いです。
学校によっては、一定の級を取得済みの場合は入試科目の免除や単位として認定している場合もあるので、志望校がそのような優遇を設けていれば勉強のモチベーションは高まりますね。
さらに、もしも社会人になってから、中学校や高校の基礎の英語力を身に着けたい、と思った場合も、中学生・高校生向けの教科書や参考書などを読むのではなく、英検3級2級向けの勉強を行うことで目的を達成できるかもしれません。

④面接試験でスピーキングも判定
TOEICの中で最も受験者数が多く、認知度も高いTOEICリスニング&リーディングでは、
残念ながらスピーキングの能力は判定できません。
また、TOEFLでは、パソコンを使ってスピーキングの試験を行うため、
相手不在のままマイクに向かって話す、という、コミュニケーションとしては不自然な状況となります。
一方で、英検の面接では、試験官が会場におり、1対1あるいは1対2での応答が行われます。
人とのコミュニケーションとなることで、人によってはリラックスして受験することができるかもしれません。
というのも、私自身英検は中学生の頃から英検を受験してきたため、英検方式のスピーキング試験には慣れており、準1級の受験もそれまで通りと同様に感じられましたが、TOEFLの受験時にはパソコン画面を見ながら、相手のいないまま話すという状況にとても違和感がありました。
英検であれば、聞き取れない場合は一定回数まで聞き返すこともできるので、気持ちも楽になるかもしれません。
社会人の就職でのモデルケース

生徒さんは高校時代に私の英語教室に通っており、高校卒業時には英検2級を取得する事ができました。
英語が好きという事から仕事でも英語に触れたいと言う気持ちがあり、地方ではありますが、観光業の会社の面接を受けました。
その時に、面接官の方に「うちの会社では外国人の接客する事がよくあって英語が少しでも話せたら即戦力になるんですよね〜」と言われたそうです。
生徒さんは、英検2級を持っている事をアピールしたら、面接官の方も素晴らしいと言ってくれたそうです。
結果、その会社には採用されて、今でも働いているそうです。
英語を使う職場によっては、英検2級を持っていると就職にもプラスに働く場合もあるようですね。
大学生が就職時に英検がプラスになったモデルケース

その生徒さんは英検準1級を取得しました。
外資系の会社に就職を希望しており、skypeやZOOMでのミーティングもあったりするようです。
そのため、その会社では英語が必須とのこともあり、TOEICは受けていませんでした。
しかし、英検準1級を取得していたため合格の決めてになったようだと話しておりました。
英検をオススメできない理由もいくつかあります。
世界での認知度の低さ
英検のホームページには、「英検留学」と題し、英検が留学に必要な英語力を満たすことの証明となる、という記載があります。
海外の大学や高校では留学を受け入れる際にそのような英検の証明を受け入れていることもあるようです。
しかし、学校の数は限られている上、現地の先生や生徒は多くの場合、英検を認知していません。
それは、英検が日本の試験だからです。
一方、TOEICやTOEFL、IELTSは、アメリカやイギリスで開発された試験で、海外にも受験者が多くいます。
そのため、海外に行った際に自分の英語力を提示することがあるのであれば、それらの試験の方が有効です。
社会での通用
英検は受験者の約77%が中学生・高校生というデータがあるように、学生向けの試験である、という認識が強いです。
そのため、社会人になってからだと、準1級や1級などの難易度の高い級を除いては、取得していてもあまり有効とならないかもしれません。
特に、就職活動などでは、例えば英検2級を取得しているよりは、TOEICのスコアが750であることの方が優遇されることもあるでしょう。
これは、TOEICがよりビジネス英語に重点を置いているということも原因ではありますが、英検自体が学生向けと考えられてしまっている可能性もあります。

実用性に疑問も
実は、難易度の高い準1級や1級向けの単語帳などを見ていると、「この単語はネイティブスピーカーが日常的に使うことはあるのだろうか」と疑問に思うことがあります。
日本語でも、日常的に使う言葉の他に、公式的な表現や、固い言い回しがあるように、英語にも日常的には頻繁に使わない語彙があるのです。
そのため、準1級や1級を取得したとしても、その勉強のために習得した語彙が、実際に英語でのコミュニケーションで使えるかどうか、はわかりません。
そして、実用性という面では、英検は問題にスラングやカジュアルな表現を含まないことも、英語の日常会話に役立つとは言いにくい部分があります。
二次試験は面接官による差あり
面接官による試験があることは、自然な会話という面では利点でもあるのですが、一方で、試験官によって判断が異なってしまう、と感じることもあります。
もちろん、合否の基準は定められていますが、判断自体は面接官1名(1級の2次面接では2名)にゆだねられているのです。
口コミサイトなどでは、この面接官の対応に不満があった人の感想などもしばしばあることも踏まえておくといいかもしれません。
もちろん、試験の制度として長年の歴史を築いている信頼できる検定ですので、心配しすぎることはありませんが、「そういうこともあるんだな」と参考程度に心にとどめておきましょう。
まとめ

英語学習者すべてに有用な試験というわけではありませんが、一部の人たちにはとても役に立ちそうですね。
特に中学生や高校生、日本の大学を受験する受験生などには英検の勉強をしていることにより、良い効果が得られそうです。
英語学習初心者の学力の確認にはもってこいなので、若い学生たちには依然として人気の検定試験です。
”2020年に全国的に英語教育改革、大学入試改革があり、英検の立ち位置にも変化が生まれ、より重要性が増す可能性があります。”「受験英語」廃止の流れですね。
TOEICとは異なり、4技能の中の「スピーキング」能力に力を入れている所は注目すべき点となります。
大人の方でも、2級、準1級、1級にトライするのも英語力向上と腕試しには有益な試験となるでしょう。
また、趣味で英語を続けたいという人も英検用の英単語集などを使うと一層語彙力が増すかもしれません。
準2級(または3級)合格レベルで英会話の基礎文法と基礎ボキャブラリー、日常会話に必要な英語力の確認ができます。
初心者の大人の方は、少なくとも3級レベルには到達しておくと良いでしょう。
一方で、海外留学を目指す人々や海外駐在予定者などにはあまり向いていないかもしれません。
職場や、留学の際により実践的に使うことができるTOEICやTOEFLに向けた勉強の方が良いでしょう。
このように目的に合わせて、英検の受験を検討してみてください。
【補足】英検の概要と特徴について詳しく解説
英検とは
英検は、正式には実用英語技能検定という名称で、公益財団法人日本英語検定協会が実施する英語の検定です。
日本では最も長く実施されている英語の試験ということで歴史があります。
日本英語検定協会は実用英語技能検定の他に、英検Jr.と呼ばれる、主に小学生を中心とした児童向けの英語検定、低価格の団体向け試験である英検IBAなども実施しています。
試験は、年に3回、日曜日の午前と午後に分かれて実施されており、隣接する級であれば1日のうちに午前と午後に2つの級の試験を受けることができます。
試験時間及び検定料は受験する級により異なります。
試験内容は、1次試験では筆記試験とリスニングテストが行われ、3級以上を対象とした2次試験では面接が行われます。
5級と4級の筆記試験では、マークシート方式のみで、3級から1級の筆記試験にはマークシートの他に英作文があります。
2次試験は、1次試験の一か月後程に、1次試験の合格者のみが受験することとなります。
英検の特徴
2016年度では約339万人の志願者がおり、志願者数は毎年約2万5千人~3万人程度の割合で増えています。
このうち、中学生・高校生の受験が261万人程度で、約77%の受験者層ということになります。
(これらの数字には公益財団法人日本英語検定協会が実施する英検Jr.や英検IBAなどを含みます。)
文部科学省の後援を受けている検定であり、年に一度成績優秀者や英検合格者が多い団体に対して賞を授与しています。
文部科学省以外にも、米国大使館やブリティシュ・カウンシル、オーストラリア大使館、日本商工会議所など様々な団体からの後援もあります。
中学、高校、大学によっては、英検を取得していることによって、入試における学科試験、入学時の入学金及び授業料が免除されたり、英語の授業科目として単位が認定される、という優遇を行っている場合があります。
北海道から沖縄まで日本各地の学校で取り組まれています。
また、文部科学省が実施する高等学校卒業程度認定試験(旧大検)においても、英検2級以上の級の合格者は英語の試験科目が免除されます。
1次試験の問題は公開されているため、受験者は問題冊子を持ち帰ることが可能です。
英語の試験では問題を公開していないものも多いのですが、英検については受験後すぐにオンラインで解答速報などを探し、答え合わせをすることができます。
また、2015年以降は成績表に、英検CSEスコアという尺度を導入するようになり、合否だけでなく、受験者は自分の得意な分野や苦手な分野を、点数によって分析することが可能となりました。
このCSEスコアは、国際標準規格であるCEFRに対応しており、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つの分野のスコアと合計のスコアが成績表に掲載されます。
さらに、英検バンドと呼ばれる、合否の判断基準も示されるようになり、合格にどれぐらい足りていないのか、あるいはどれぐらい余裕をもって合格できたのか、というような合格への距離を提示しています。
級ごとの特徴
英検は、5級から1級までの級がありますが、それぞれ級ごとに特徴があります。
5級は、中学初級程度が受験の目安となっており、英語を習い始めた人が基礎を確認するために受験するとよいでしょう。
4級は中学中級となります。
4級まで2次試験がないので、気軽に受けることができるかもしれませんね。
文部科学省は、中学卒業段階で3級合格を目安として設定しています。
2次試験の面接があること、試験内容にも海外の文化が題材とされるなど、4級との違いが多いです。
準2級は高校中級程度、2級は高校卒業程度が目安です。
題材も教育や科学、医療やテクノロジーなど幅が広がり、大学入試やセンター試験の勉強にも役立つ場合があります。
準1級は大学中級程度、1級は大学上級程度となります。
日本英語検定協会は、準1級と1級を「リーダーの英語」と表現しているように、実践的な英語力を判定する試験となっています。
1級の面接では、2分間のスピーチとそれに対する質疑応答が行われる、など、コミュニケーションにおける対応能力も問われます。