if~で導かれる節と、主節を合わせた文を文法的には「仮定法」と言いますが、今日はこの仮定法についてのご紹介です。
先のことを仮定して楽しい想像をしたり、事態がどう発展していくのか心配したり、あるいは誰かを説得するのに何かを提案したり・・など、いろいろな場面で使えるifを使ったフレーズをたくさんご紹介します。
「if」の使い方と基本的文法のおさらい
仮定法は以下のように、大きく分けて4つに分類することができます。
仮定に対する結果の起こり得る可能性の高い順に0~3で示します。
①仮定法0(ゼロ)・・・科学的事実や一般的常識、習慣など同じ条件でその他の結果が得られない場合(可能性が100%、あるいは100%に限りなく近い)
(例)
■If you heat water to 100℃, it boils.(水を100℃に熱したら、水は沸騰する)
■If ice melts, it becomes water.(氷が溶けると水になる)
■If you drink water, you can prevent dehydration. (水を飲めば脱水症状は起こさなくて済みます)
■If I go to the movie, I drink coke.(私は映画に行ったらコークを飲みます)
動詞の時制は、ifで導かれる節も主節も両方現在形を使います。
ここで使われるifは、whenと置き換えることができます。
②仮定法1・・・現実的な仮定(確実ではないが、高い確率でその結果が予想される場合)
(例)
■If you study hard, you will pass the exam. (一生懸命勉強したら、君はテストに合格するだろう)
■If my father knows it, he will get angry.(父さんがそれを知ったら、父さんは怒るだろう)
動詞の時制は、通常ifで導かれる節では現在形、主節では未来形を使います。
willのほか、may, mightなどを使って可能性の度合いを表すこともできます。
③仮定法2・・・可能性はなくはないが、こうだったらいいなという想像や、現在の事実に反する仮定。
(例)
■If I were you, I would look for another job. (私があなたの立場だったら、別の仕事を探します)
動詞の時制は、ifで導かれる節では過去形、主節ではwould+動詞の原形になります。
口語ではIf I was~と言うこともあります。
■If I became the Prime Minister, I would make a lot of changes.(私が総理大臣になったら、多くの改革をするんだが)
ただし、この文の発話者が、政治家などで次の総理大臣のポストを狙っていて、実際に総理大臣になる可能性が高い人が決意表明として述べるのであれば、現実的な仮定である仮定法1を用いて、If I become the Prime Minister, I will make a lot of changes.のように言います。
④仮定法3・・・今更どうしようもない、今なら何とでも言える、すでに起きてしまった過去の事実に反する仮定(後悔や負け惜しみ、言い訳、恨みを言う時など)
(例)
■If the accident had not happened, I would have been in time for the test.(その事故さえ起きなければ、テストに間に合ったのに)
■If I had had a million dollars, I would have helped you.(私が100万ドル持っていたら、助けてあげたんだけどなぁ)
動詞の時制は、ifで導かれる節ではhad+動詞の過去分詞形、主節ではwould have+過去分詞形になります。
*すべての仮定法の文は、主節と従属節(ifを含む文のこと)をそっくり順序を入れ替えることができます。
(例)
If I had had a million dollars, I would have helped you.
=I would have helped you if I had had a million dollars.
確認問題
仮定法の基礎はつかめましたか?簡単な問題①〜⑤で力試しをしてみましょう。
日本語の意味に合うように、カッコ内の動詞を適当な時制に変えてください。
変化しない箇所もあります。
【問題】
①If I (win)the lottery, I(buy)a car.(その宝くじに当たっていたら、車を買っていたのに)
②She(have)an accident if she(drive)more carefully. (彼女はもっと注意して運転していたら、事故を起こすことはなかった)
③I(watch)the film if I(finish)early.(早く終わったら映画を観るつもりだ)
④If I(be)rich, I(travel)around the world. (僕が金持ちだったら、世界一周旅行をするんだけどな)
⑤If I(wake)up early, I(go)jogging.(早く起きたらジョギングに行こう)
・
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【解答】
①had won/would have bought(仮定法3)
②wouldn't have had/ had driven(仮定法3)
③will watch/finish(仮定法1)
④were/would travel(仮定法2)
⑤wake up/ will go(仮定法1)
「if」を使った12の便利なフレーズとその意味・使い方
ifを使った便利な表現です。
このようなイディオム的な便利表現はあまり難しく考えず、そのまま覚えてしまうのが英会話上達のコツですよ!
①what if?
「もし~だったら?」と何かが起きることを仮定したり示唆する時に、what would you do if~?や、what should I do if~?と言うところを、主節を丸ごと省略して使える、とても簡単で便利なフレーズです。
(例文)
■What if I get lost? I don't have my cell phone and I can't even read a map.(もし道に迷ったら?携帯も持っていないし、私は地図さえ読めません)・・未来への不安
■What if the train is late? You should leave early.(電車が遅れたら?早めに出たほうがいいよ)・・説得やアドバイス
■What if I finish homework? Can I play with them?(もし宿題を終えれたら?彼らと遊んできていい?)・・相手の意向を伺う
■So, what if I quit school? It's my responsibility. Leave me alone!(学校を辞めたとして何なの?私の責任だからほっといて)・・開き直り
②as if
「まるで~かのように」という仮定を表します。
(例文)
■She talks as if she knew everything.(彼女はまるですべてを知っているかのように話す)
■After reading a patient's diary, I feel as if I were seriously sick.(ある患者の日記を読んだら、自分まで重病になったような気分だ)
「すべてを知っているかのように」=「現実には知らない」、「重病になったかのような気分」=「実際には重病でない」と現在の事実に反する仮定なので、as if~で導かれる文の時制は過去形になります。
③if only
「~でさえあれば」という仮定を表します。
(例文)
■If only I knew how to drive a car! (車さえ運転できればなぁ)
■If only I had a magnifying glass, I could start a fire.(虫眼鏡さえ持っていたら、火が起こせるのに)
■If only I am smaller, I could wear those jeans. (私がもう少し小さかったら、このジーンズが履けるのに)
「~さえできれば」は現在の事実に反する仮定なので、時制は過去形を用います。
④even if
「たとえ~であっても」という仮定を表します。
(例文)
■I will go to the country and help and support people there even if it kills me. (たとえ死んでも私はその国に行って、人々を助け支援したい)
■Even if it's free, I don't want it.(たとえタダでも要りません)
■Even if I weren't tired, I would not go to the party. I don't like crowded places.(たとえ疲れていなくてもパーティには行きません。人の集まるところが嫌いなんです)
⑤if any
「たとえ少しでもあるならば」の意味で使われます。
(例文)
■Correct errors if any.(もし間違いがあれば訂正してください)
■There is little, if any, possibility of passing the test.(そのテストに合格する見込みはあったとしてもごくわずかです)
このように、文の途中に挿入したり、文の最後に置いて、可能性の大小に限らず使えます。
⑥if you like
「もしよければ」の意味で、丁寧に申し出るときや、提案をするときに使います。
このひとことを付け足すだけで、押し付けがましさを感じさせない印象の文になります。
(例文)
■Take one if you like.(よければおひとつどうぞ)
■I'll go with you if you like. (もしよければ私がごいっしょしますよ)
⑦If so
「もしそうならば」の意味で、主語、動詞を省略した簡単な言い方です。
「もしそうでないならば」なら、If notを使うことができます。
(例文)
■Do you have siblings? If so, how many? (兄弟姉妹はいらっしゃいますか?もしいるなら何人ですか?)
■Do you want to go to the beach? If not, is there anything that you want to do tomorrow? (海に行きたい?そうでないなら、明日何かしたいことある?)
⑧If you don't mind
「もしも差し支えなければ」の意味で、丁寧にお願いする時や、提案する時に使います。
(例文)
■I'll talk first if you don't mind.(もし差し支えなければ私のほうからお話します)
■If you don't mind, may I open the window? (もし差し支えなければ、窓を開けてもいいですか?)
⑨If you please
「もしよければ」の意味。丁寧にお願いするときなどに用います。
(例文)
■Will you pass me the salt if you please?(よろしければ塩を取っていただけませんか?)
⑩if he(she)'s a day
他人の年齢を推測する時に付け足して、「少なくとも」という意味合いで最低ラインを強調する時に使います。
(例文)
■She is over 40 years old if she's a day.(彼女は少なくとも40は超えていると思うよ)
■He graduated from high school last year, so he is 18 if he's a day. (彼は最低でも18歳だよ)
⑪if I were you/if you were me
「私がもしもあなただったら」「もしあなたが私の立場なら」と誰かの相談に乗ったり、乗ってもらったりするときなどに使う言い方です。
(例文)
■If I were you, I would apologize to her. I don't want to get into trouble with her.(私があなたの立場だったら、彼女に謝るかな。彼女ともめたくないもん)
■If you were me, would you do the same thing? (あなたが私だったら、同じことをしますか?)
⑫if necessary
「もしも必要ならば」を主語や動詞を省いて簡単に表す言い方です。
(例文)
■You can go to YouTube and search if necessary. (もし必要ならYouTubeで検索してみるといいよ)
■Call me anytime if necessary.(必要あればいつでも私を呼んでください)
まとめ
仮定法は、覚えておくと、英語の表現がとても豊かになります。
文法は一見難しそうですが、パターンが決まっているので、基礎を整理し、理解しておきましょう。
特に、仮定法では過去形、過去分詞形がよく登場するので、もういちど規則動詞、不規則動詞とも動詞の過去形と過去分詞形をおさらいしておくと、前回紹介した「受動態」や、「完了形」などでも非常に役立ちます。
あとはここでご紹介した ” if ” を使ったイディオム的なフレーズをたくさん覚えると、英会話スキルのレベルアップに繋がるでしょう。