日本は梅雨入りですね。梅雨が明ければ、夏が待っています。今年の夏休みの計画を始めた学生や社会人の方々も多いかもしれませんね。
アメリカの夏休みは長いというのは多くの人が知るところですが、学生達はその長い休暇期間をどのように過ごしているのでしょうか?
ということで今回は、アメリカの大学生の夏休みの過ごし方について紹介します。
特に、留学を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
アメリカのアカデミックイヤー
一年の流れ
ご存知の方も多いかと思いますが、日本の学校ように4月に新学期を始めるのは少数派です。
最近では日本でも秋入学や秋からの編入を認めている学校も多いようですが、やはり一般的には4月が主なスタートの時期ですね。
世界的には、9月から新学期を迎えるという国が圧倒的に多いです。
アメリカの学校もやはり9月から新学期を始めるところが主流です。
では、一年の流れはどのようになっているのでしょうか。
以下に詳しく説明しますが、大きな流れとしてはセメスター制とクオーター制という二つの新学期の2種類があります。
どちらも9月に始まり、5月あるいは6月に終わる、というスケジュールになる場合が主です。
セメスター制
セメスター制では、1年を2つの学期にわけます。
大まかには以下のようなスケジュールです。
・9月~12月 ファーストセメスター(秋学期)
・1月~5月 セカンドセメスター(春学期)
秋学期には、11月末に5日~7日程度の感謝祭休暇があります。
また、クリスマスは家族で過ごす習慣が強いため、クリスマスから年明けまでを冬休みとする学校が多いです。
セメスター制の良い点は、年間を通して履修登録が2回、つまり授業も一つの授業に少なくとも3か月以上かけられるので、試験などに追われることなく、授業に集中しやすい点があります。
課題や中間試験などで上手くいかないことがあっても、巻き返しが可能とも言えます。
クオーター制
クオーター制では、1年を秋学期、冬学期、春学期にわけます。大まかには以下のようなスケジュールです。
・9月~12月 ファーストクオーター(秋学期)
・1月~3月 セカンドクオーター(冬学期)
・4月~6月 サードクオーター(春学期)
セメスター制同様、ファーストクオーターでも、11月末には感謝祭休暇、12月にはクリスマス休暇をもつ学校が多いです。
クオーター制の良い点は、授業の期間が短く設定されているため、短期集中型の人には向いていると言えます。
課題や期末試験をきっちりこなしていれば、単位はとりやすいかもしれません。
人気の夏休みの過ごし方
先ほどのスケジュール例で示したように、5月あるいは6月から8月までの3~4か月は多くの場合新学期までの長期休みとなります。
では、この休みの期間、アメリカの学生達は一体どのように過ごしているのでしょうか。
サマーコース
セメスター制とクオーター制の説明では触れませんでしたが、どちらの制度でも、実は多くの学校で、夏の長期休み中にサマーコースと呼ばれる授業を設置し、単位の取得を可能にしています。
サマーコースは任意で、受講したい人だけが受講できるようなシステムにしている学校がほとんどで、授業の設置数も他の学期に比べると多くはありません。
また、5月あるいは6月~8月までの期間のうち、数週間という超短期集中型でスケジュールを設定している学校もあり、いっそう授業への参加や課題、試験への真剣度が求められます。
サマーコースを受講することの利点は、同時期に入学した人よりも早く単位を取得して卒業することが可能になったり、他の学期で落としてしまった分の単位を取得したり、ということが可能になることです。
帰省
アメリカ合衆国は51州あるので、州をまたいで大学に進学する人はとても多いうえ、世界各国からも学生が留学しに来ています。
そのため、夏の長期休み中は実家に戻って、家族や昔ながらの友人と過ごすという人がたくさんいるのです。
帰省して何をするか、と言えば、アルバイトをしたり、家族や友人と旅行に行ったり、また、先に挙げたサマーコースの中でもオンラインの参加のみで単位取得可能な授業を履修したり、というように過ごします。
帰省中は、学校に通っている間に自分の住んでいたアパートを貸しにだす、サブレットをする人が多くいます。
自分の家具や荷物を置いたまま、一定期間他人に住んでもらい、家賃を節約するのです。
日本では、自分のいない間に他人を自分の家に住まわせるという習慣に馴染みがないかもしれませんが、アメリカの大学付近などの家賃相場がやや高めの場所ではよくあることです。
インターンシップ
インターンシップを通じて、在学中から自分のキャリアを築こうという学生もとても多いです。
日本と違い、就職活動時期が明確に定められていないアメリカでは、インターンシップによって一定期間職場や研究施設等との結びつきをもち、そこで活躍を認められればそのまま就職する、ということも可能です。
また、人脈を作るということもインターンシップの目的の一つで、これにより卒業後の就職を有利にしようという意図もあります。
これはどういうことか、というと、アメリカで就職活動をする場合、企業から推薦状の提出を求められることがたびたびあります。
就活生がどれほど良い人物であるか、ということを家族や友人以外の第三者から評価してもらい、文書で企業へと提出するのです。
この推薦状を使って、企業は就活生の採用、不採用の判断材料とするのです。
推薦状を書いてもらうためには、ある程度その就活生のことを理解している人物である必要があることから、インターンシップ先の同僚や上司との人脈作りは大切です。
ちなみに、インターンシップは有給の場合も無給の場合もあります。
人気の企業などはわざわざ有給としなくても学生が集まりやすいことから、無給の場合が多いでしょう。
学校や自分の在籍学部によっては、インターンシップが卒業の条件となっていたり、あるいは、単位認定される場合もあります。ビジネス系の学部ではこのような制度を設けているところが多いようです。
インターンシップはどのように探すのか、と言えば、友人や家族などの紹介の場合もあれば、学校で開催されるジョブ・フェア(就活イベント)で探したり、internships.comのようなオンラインサイト(http://www.internships.com/)からも探すことが可能です。
サマープログラム
サマープログラムというと、夏に行われる色々なプログラムのことについて総合的に呼ばれますが、ここでは、大学が開催する、中学生・高校生向けの夏季限定プログラムについて触れようと思います。
アメリカの大学では、夏季に中学生や高校生を集めて、一定期間模擬授業や寮生活を体験してもらえるようなプログラムを設置している学校が多くあります。学校はこれにより、未来の入学志望者を増やすことができ、また、中高生は進路決定の判断材料を増やすことができます。
プログラム自体は高額な場合が多いですが、教育熱心な保護者はこぞって子供を通わせようとすることもあります。
サマープログラムの間は、実際に大学の大学生とのコミュニケーションをとれるような企画を用意したり、大学生が世話係として指導に当たることもあります。大学生にとっては夏の間の人気のアルバイトの一つです。
卒業
先に少し触れましたように、アメリカではサマーコースを取るなどの都合によって、人によって早く卒業したり、遅く卒業したり、ということがありえますが、一般的に卒業式は5月あるいは6月に大々的に開催されます。
一足早く単位を履修し終えた学生は次の卒業式に参加するということもありますし、卒業式に参加しないということもあります。
テレビや映画で見たことがある人も多いかと思いますが、アメリカの卒業式では、ガウンと帽子を身に着けます。帽子にはタッセルという紐がついています。
ガウンや帽子の色は黒や紺が主流ですが、学校によってはガウンと帽子の色を学校のスクールカラーにしている場合もあります。
卒業式のメインイベントは、一人ひとりへの卒業証書授与と、コメンスメント・スピーチです。日本だと代表者のみが授与される場合がほとんどのような気がしますが、アメリカでは卒業する人全員の名前が読み上げられ、一人ひとりが壇上に上がるという場合が多いです。
そのため、式自体も長く、静粛に待つのではなく、隣の人と歓談しながら待つということも普通です。
コメンスメント・スピーチは、有名人や偉業を達成した卒業生などがゲストとして発表するのが一般的です。
ちなみに、commencementの元来の意味は「開始、始まり」となります。
ゲストが、卒業生に向けて卒業後の新しい人生に対する応援を述べるのです。
ゲストは、映画監督であったり、俳優、政治家、起業家等様々な人々がいます。
アメリカで、歴史的に有名となったコメンスメント・スピーチと言えば、2005年にスタンフォード大学で、アップルの共同創始者であったステーブ・ジョブズのスピーチです。
スピーチの中で、彼は、”You've got to find what you love,”(=大好きなことを見つけなくちゃいけない)という言葉を述べ、卒業生が自分の情熱を捧げられるものを追求できるよう応援しています。
スピーチの締めくくりの"Stay hungry, stay foolish."(=常に渇望し、常識にとらわれるな)という言葉も世界的に有名ですよね。
感動的なスピーチということで話題を呼び、YouTubeでの再生回数はおよそ3千万回にもなっています。
(2018年6月時点)皆さんもぜひ視聴して、感動を味わってください。
(Stanford University, Steve Jobs' 2005 Stanford Commencement Address,
https://youtu.be/UF8uR6Z6KLc,
Retrieved on June 16, 2018)
この卒業式が終わると、大学には夏休みムードが漂うようになり、9月の新学期までは人の出入りが比較的少なくなります。
因みに学生時代の私はいつもサマーコースを取り、ちょっとしたバイトもあったので、一度LA旅行に行ったぐらいで休暇らしい休暇は取っていませんでした。
いかがでしたか?
新学期の季節が違う分日本とは違う部分もありますが、似ている部分もありますね。
アメリカの大学生の夏休みも参考にしながら、夏休みを有意義なものにできると良いですね!